みなさんに質問です。
心理カウンセリングと聞いてどんなイメージを持ちますか?
このページを読んでくださっているのですから、多少興味がある方がほとんどだと思います。
心理の仕事を始めて10年になりますが、カウンセリングや心理学のことを一般の方に話した時に、
大体3通りの反応が返って来ます。
1つ目 「興味あります。」
2つ目 「いやいや、結構です。(興味ないです)」
3つ目 「へぇ~(どちらでもない)」
時の流れと共に心理の知識が必要な時代がやってきました。
政策でスクールカウンセラーが常駐する学校も増えています。
気持ちがモヤモヤして悩んだ時にスクールカウンセラーに話を聞いてもらってスッキリする体験をした子どもたちが大人になった時
心理カウンセリングに対しての世の中の価値感はすっかり変わるのではないかと思っています。
私自身はなぜか昔から心理学に興味がありました。
カウンセラーになる前は20年ほど薬剤師の仕事をしていたので
病気と心には関係があることを身をもって感じていました。
忘れられないエピソードがあります。
薬剤師になった年の春
私はあるビルクリニックの調剤薬局に就職しました。
そこにはいろんな科の処方箋が来ていましたが、その中に精神科の処方せんもありました。
当時の精神科の処方せんにはありとあらゆる数のお薬が処方されており、
新人の私はその数にびっくりしたものですが、
それ以上に驚いたのが処方箋を持ってくる患者さんたちのつらそうな表情でした。
無表情で目はうつろ
顔色は悪く、終始うつむいて、猫背気味
会話をしても目が合いません。
薬の数が増えるたびに症状が改善するどころか、どんどん元気がなくなっていくように
見えました。おそらく薬の副作用が関係していたと思いますが、薬剤師になりたての
私は薬が増えているのになぜ改善の兆しが見えないのだろうと不思議でした。
当時は1990年代前半
画期的なうつ病の薬が世に出る前でしたから他に選択肢がなく、仕方がなかったのかもしれません。
私は「心の病気の治療は薬よりもカウンセリングの方が絶対にいいはずだ」
と思いました。
そのことがきっかけで心療療法に興味が湧きました。
30代で恋愛関係につまづいて心理カウンセリングに出会いました。
私は心理カウンセリングに抵抗がなかったので友達から紹介されたカウンセラーさんに
自分から連絡を取り、予約を入れ、月に1度90分のカウンセリングに通いました。
心理療法を受けて一番よかったことは、自分がどんな人間かが分かったことです。
私は「親の言うことを聞くいい子」「優等生」で育ったので、
すべて親が決めた道を歩いてきました。
薬剤師になったのもそういういきさつです。
もちろん、小さい頃から人に興味があったので、全く畑違いの道に進んだわけではありませんが。
発達心理学と言う学問があります。
人は生まれてから死ぬまでに年齢に応じて体と同じように心も発達することを研究した学問です。
その中に思春期(中学2年~20歳くらいまで)に乗り越えるべき心理的な課題と言うものがあります。
子供は思春期に自分を育ててくれた親の不完全さに気付き、反発し、親を一旦否定することで、自分がどんな人間なのかを理解します。
これをアイデンティティの確立と言います。
今まで神様のように思っていた親が間違っているかもしれないと疑問を持ち、否定することで、
じゃあ、自分はどうなんだろう?と
自分について考えたり、自分を知ることに時間やエネルギーを使うようになります。
いわゆる自分探しの時期ですね。
これは、子供の心が大人に成長するために必要なプロセスで俗に言う「親離れの時期」なのです。
この時期にアイデンティティを確立した人は自分らしい生き方を模索しながら、自分の意志で進路を決めます。
しかし、この時期に親を否定せず親の言うことを聞き続けた人は、10年、20年後に、一体自分は人生で何をしたいのだろう?と言うアイデンティティの壁にぶつかると言われています。
小さい頃から親の言うことをよく聞く優等生で生きてきて、
誰もがうらやむ生活をしていた優秀な官僚が突然辞職して、ずっとやりたかったパン屋さんを始めたなんて言う話を聞いたことはないでしょうか?
実は私もこのアイデンティティの壁にぶつかった一人です。
本当の自分がどんな人間で、
この人生で何をやりたいのか、
自分にとっての幸せとは具体的に何なのか?
そういったことが30代になっても分かりませんでした。
なので私の場合は30代になって自分探しが始まりました。
通常よりも10年以上遅れています。
ですが、カウンセリングを受けることでそのプロセスが随分と早く進みました。
受け始めて5年ほどで自分のことがよくわかり、自分が人生でやりたいことも見つかりました。
「心理カウンセリング」は心の不調を取り除くだけでなく、心の成長や人生をより良く生きるために役立つものであることを知ってほしいと思っています。
私が所属するメンタルサポート研究所では、うつ病の患者さんに対して
心理カウンセリングを行った場合と、抗うつ薬を服用した場合の治療の過程を検証したエビデンスがあります。
3ケ月目はカウンセリングの方が薬よりも症状の改善効果が高く、
半年後はどちらも「6割程度改善」と言う結果が出ました。
そして7、8年後の再発率は...
30人中15人(薬)
30人中1人(カウンセリング)
と言う結果でした。
この結果を見て興奮したのを覚えています。
薬と同じ、いやそれ以上の改善を期待できるものに出会えたのだと!
メンタルサポート研究所が提供しているカウンセリングは副作用はありませんし再発率が低いことからも分かるように効果が持続します。
問題を解決するまでには個人差がありますが、ずっと受け続ける必要はありません。
ただ保険が効かないので費用がかかります。
お薬の場合は副作用がありますが、治療には保険が使えるので費用はカウンセリングほどかかりません。
ただ、薬を飲み続けなければならないと言うリスクは残ります。
私はこのデータを見て選択肢が増えてよかったと思いました。
なぜなら選択肢が増えると言うことは患者さんにとって可能性が広がることにつながるからです。
それぞれの状況で一番ベストな選択をしてもらいたい。
そう思っています。
そして、どちらにも言えること。
治療でもカウンセリングでも
「これから自分は良くなっていくだろう」と言う希望を持てることが重要だと思います。
希望を持つためには主治医(と処方薬)や心理カウンセラーに対しての信頼は必須だと言えます。
そういった意味では、心理カウンセラーはクライアントさんにとってお医者さんやお薬のような存在にもなり得ると言うことなのですね。
カウンセリングでたまに「先生は私のことを何もかもお見通しなのですか?」
と言われることがあります。
メンタリストと呼ばれる方はそういうお勉強をされていると思いますが
私たちメンタルサポート研究所の心理カウンセラーは
「話の聞き方を科学的に学んだ」人たちです。
数時間で全てが分かるほど人の心は簡単なものではありません。
豊かで複雑で深淵なものなのです。
解明されていないこともまだまだたくさんあります。
だからこそ心理学は日々発展しているのだと思います。
話の聞き方にはコツがあります。
これはスキルなので学べば誰でもできるようになります。
ですが、そのスキルを身に着ける前にカウンセラーとして最も大切なことは
「人はみなOKである」と言う前提でお話を聞くことなのです。
「どんなあなたもどんな私もOK」
こういう姿勢は表情や口調などの非言語に出て相手に伝わるのですね。
相手が心を開いてくれると言うことは目に見えない何かが働いていると言うことなのです。
そういったことを大切にしながら、日々、お話を聞かせてもらっています。