今日は、私が体験した不思議な出来事について書こうと思います。
7月に右足首を骨折し2ケ月が過ぎた頃の話です。
レントゲンに映らない程度の骨折だったので
すぐに治るだろうと簡単に考えていました。
主治医は60代半ばと思われる男性で気さくな雰囲気の方でした。
「後遺症の心配はない」と断言してくれたので初診時は安心できました。
その立場になってみないとわからないと言うのは実にその通りで
松葉杖の生活は想像していた以上に不便でした。
両手がふさがってしまうので物を持ちながら移動ができないのですね。
主人が仕事でいない日は自宅の台所で立ったまま食事をとりました。
あと夜中のトイレが怖かったです。
おぼろげな意識の中、暗闇で松葉杖をつくため危うく転倒しそうになりました。
大変でしたが骨折したからこそ見えた風景がありました。
受傷して3週間後、松葉杖をついて広島から長崎に移動した時のことです。
大きなリュックをからい、松葉杖をついた私にやさしくしてくれる人がたくさんいたのです。
エレベーターの扉が開いたあとも私が出るのを(ドアを開けながら)待っていてくれていた中学生の男の子
JR博多駅では新幹線と在来線の乗り継ぎ距離が長く、足が悲鳴を上げたので
(本当はやってはいけない)ショートカットをした時にやさしい言葉をくれた駅員さん
佐世保につくと友達や仕事の現場で多くの方がいたわりの声をくれて本当にありがたかったです。
ようやく1カ月がたちました。
過去に同じ部位を骨折をした友人の話では1ケ月くらいで日常生活に戻れたそうです。
ですが私はまだ松葉杖を外せません。
右足に体重をかけると痛いのです。
「おかしいなあ」と思いながらも
「痛みがない生活をするように」
としか主治医に言われなかったのでそれを信じて過ごしました。
2ケ月目
レントゲンを撮ったら骨折線が出ていました。
骨折線と言うのは折れた骨が繋がっていることを示す線だそうです。
主治医「骨はついているのにまだ痛いの?
もう治ってる時期なんだけどな~」
私「そうですか。痛みのないように過ごしたつもりなんですが…このまま痛みが取れないとどうなりますか?」
主治医「う~ん…手術やろうねぇ。この程度の骨折で手術なんかしたら、あんたも私も患者と医者として0点よ。」
瞬間、ドキッ!としたあとに内側がざわざわしました。
「痛みがない生活」ってよく考えたら漠然としています。
自分なりに気を付けて過ごしたはずなのに0点なんて言われたら、じゃあ私が間違ってたの?
と疑惑と後悔の念が押し寄せてきました。
同時に、もっと具体的な指示や治療の情報が欲しいと思ったのでリハビリをお願いしました。
すると
主治医「この程度の骨折でリハビリね~(う~ん)」
と、言葉を濁し
結局「痛みのない生活を続けるように」の指示だけで診察は終了。
主治医は患部を見ることも触ることもしませんでした。
それからが大変でした。
「手術は困る!もしそうなったらどうしよう…(不安感)」
「痛いだろうな…(手術への恐怖)」
「松葉杖の生活に何か月も耐えられない(これ以上は無理)」
「あの時、無理して歩いたのが良くなかったんだ!私の馬鹿(後悔)」
不安や恐怖、後悔が頭の中で自動再生を始めました。
その夜から足の痛みが強くなったのです!
それまでは動かなければ痛くなかったのに、じっとしていても痛いのです。
右足首を触ると熱を持って張れています。
受傷してすぐの時のような痛みの再来です。
「どうしよう….」
一度、気になりだすとそれに囚われる気質(HSP)ゆえ
その日から24時間、手術と言う最悪な状況を空想するようになりました。
思考がぐるぐるとハマっている時は誰かに話を聞いてもらうことが一番だと思い
母に電話をしたら病院を変えたほうがいいと言われました。
次に長崎県の対馬で理学療法士をしているカウンセラー仲間のSちゃんに相談しました。
話を親身に聞いてくれたあと彼女の勤務する病院でやっている治療法やリハビリについての情報を教えてくれました。
そして主治医への感情処理を勧めてくれました。
私は腹が立っていました。
痛みのない生活をするようにとしか言わず、
詳しい説明や具体的な指示もなく、リハビリも行わず、患部を見もしなかった主治医の治療に対しての怒り
そして手術をするかもしれないと言う「不安と恐怖」
松葉杖の生活が続くのは「嫌だ」と言う不快な感情
内側にあるものを見つめ息と共に吐き出したら少しスッキリしました。
「本物の怒り」は問題解決に向かうパワーをくれる感情です。
主治医の治療への怒りを吐き出したことによってぐるぐる思考が止まりました。
そして「どうすればいいか?」と言う問題解決的な思考に切り替わりました。
ノンストップの不快感情はセルフの感情処理で軽減することができます。
気持ちがスッキリして切り替えができたので
そうだ!セカンドオピニオンを受けよう!
と思ったのです。
別の先生に診てもらい、主治医と同じ診断ならば病院を変えずにこのまま治療を続ければいいと考えました。
とにかく情報が欲しかったのです。
早速、ネットで探したところ近所に評価が5つの病院を見つけました。
予約を取って行ったら私と同じ年くらいの先生でした。
レントゲンを撮ったあと右足首に丁寧に触れ、診てくれました。
私に図を見せながら今の状態を分かりやすく説明してくれた後にリハビリのプランを示してくれました。
「骨は問題ありません。ただ2ケ月もサポーターで足首を固めていた弊害が出ていますね。今日から社会復帰のためのリハビリをしましょう」
その日から松葉杖とサポーターを外しました。
正直、外すのは怖かったんですが不思議と痛みを感じませんでした。
前日までは痛くて地面に足をつけれなかったのに、翌日には松葉杖とサポーターなしで歩けました。
まるで狐につままれたような…
そこで痛みと感情には大きな関係があることを思い出しました。
「痛みの恐怖―回避モデル(Fear-Avoidance Model of-Pain)」と言う心理社会的なモデルです。
この理論では恐怖、不安、落ち込みなどの感情を体験している時に痛みが大きくなる可能性を示しています。(すべての人に当てはまる訳ではありません)
なので、恐怖、不安、落ち込みなどの不快感情を処理することにより、結果的に痛みが軽減すると言うのはあり得る話なのです。
私が所属するメンタルサポート研究所では腰痛を訴えるクライアントさんが感情処理法で痛みが緩和された報告がたくさんあります。
中には、手術によっても腰痛が引かなかったクライアントさんを対象にカウンセリングを行い、痛みが緩和したと言う報告もあります。
不安の回避モデルが示すように、痛みは不安や恐怖、落ち込みと比例関係にあります。
今回の私のケースはまさにそうでした。
痛みが長引いたことにより不安感が増し、主治医の言葉で恐怖や落ち込みが増えたことにより痛みが増したのですね。
セカンドオピニオンのつもりで受診しましたが、違う先生の診察を受けて安心したので痛みが激減したのだと理解しました。
昨日までの痛みは何だったの?と思うくらいの変化でした。
勉強していているので頭では分かっていましたが、心の中では本当かな?と疑う自分も正直いました。
ですが、自分が体験したことによりこの理論に対しての信憑性が増しました。
そんな風に考えると言葉と言うのはすごい力を持っているなと思います。
最初の主治医は(もちろん)悪気はなかったと思います。
ただ「痛みのない生活とはこういうものだ」と言うイメージが主治医と私では違っていたんだと思います。
体の痛みがある時は誰だって不安や恐怖、落ち込みを体験すると思います。
整形外科領域の処方せんに(精神科で処方される)不安感や落ち込みを減らす薬が出ることがあります。
もちろん効果には個人差がありますが、薬によって不安感を減らし、痛みを軽減させる方法もあるのです。
もし、今、これを読んでくれている貴方が長引く痛みをどうにかしたいとお考えであれば
カウンセリングで不安感や恐怖、落ち込みなどの不快感情を減らすことで痛みが軽減する方法を選択肢に入れてもらえたらと思います。
選択肢があると言うのは心の余裕につながりますよね。
心の余裕があるからこそ問題解決に向けて行動ができるのではないかと思っています。
私の骨折の経過ですが、今はセカンドオピニオンを受けた病院でリハビリに励んでいます。
あの時、信頼できる人に話を聞いてもらい、不安な気持ちを処理したことで自分にとってベストな治療を選択することができました。
心理学講座ではセルフの感情処理のやり方をお伝えしています。自分で問題を解決できるノウハウがあるとしたら知ってみたいと思いませんか?
興味のある方は講座の見学会にご参加いただけたらと思います。